食べられる力士は強くなるとか、食べることも仕事のうちといいますが、できるだけ食事は楽しくて美味しい方がいいですね。
その点、音羽山部屋のちゃんこは、とても美味しいのでそれだけでもこの部屋にいるメリットは大きいです。
東京で治療中の鶴英山は、ちゃんこが食べられないので
「何より、前田さんのちゃんこが食べられないのが辛い・・・」
とメッセージがきているくらいです。
さて、今日は、音羽山部屋の“秘蔵っ子”とも言える力士、象竜(しょうりゅう)をご紹介します。
象竜は生まれて間もなくしてタイに移住し、入門直前まで現地で育ったという異色の経歴の持ち主。
そんな象竜が相撲の世界に飛び込んで、まだわずか1年足らず。
それにもかかわらず、稽古場ではすでに大きな存在感を放っています。
まず驚かされるのは、その身体の変化。
入門してたった半年で体重が40kgも増え、しかも20歳を過ぎた今もなお、身長が伸び続けているという“謎の成長中”な男。
「気がつけば何か食べていて、気がつけばどこかで寝ている」

そんな彼の姿に、私は大器の片鱗を見ずにはいられません。
土俵に上がれば、長い手足を活かした突き押しや、真正面からの力比べで、番付上位の力士たちをも手こずらせる存在。まだ荒削りではあるものの、まさに【伸びしろしかない逸材】

今後、親方の教えをしっかり受け止めて稽古を重ねていけば、いずれは土俵を沸かせる存在になるでしょう。
一方で、象竜の魅力は相撲だけにとどまりません。
土俵を降りれば、仲間と冗談を言い合うなど、日本語での会話にも積極的。
さらに、好奇心旺盛で、「わからない」ではなく「やってみよう」と一歩踏み出す姿勢は、まさに象竜の持ち味です。
多くの外国人力士がそうだったそうに、日本語の習得は力士として成長するために必須です。
また、こんな側面も・・・。
ホームページ作成時に行ったインタビューでは、英語と日本語の両方で受け答えし
「世界で一番好きな食べ物は?」
という問いに、少し照れながらも
「お母さんの作る料理」
と即答してくれました。
その笑顔には、力士としての素質だけでなく、人としての温かさ、真っ直ぐさがにじみ出ていました。
まだキャリアは始まったばかり。
しかし、象竜の内に秘めた可能性と熱量は、確実に彼を未来へ押し上げてくれるはずです。
——その日が来るのは、そう遠くない。
音羽山部屋の象竜、これからも要注目です。
タイにいる家族や友人、日本在住のタイ人にも大相撲の素晴らしさを伝えたいということで、象竜からタイ語であいさつを作りました。
ご覧ください。
八之助